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内装工事でも墨出しは必須!100切りや地墨出し、天井墨出しなど墨出しの方法についても解説します。
2023/10/24
内装工事とは、骨格部分(躯体)が出来上がった後に行う建物内部の工事の総称です。
建具や間仕切り壁を設置したり、床や壁、天井などを仕上げる作業が含まれます。
この内装工事でも墨出しが必要です。
本記事では内装工事の概要と内装工事で行われる墨出し、墨出しの方法などについて解説します。
内装工事とは?
建物の内部で行われる工事をひとまとめにして内装工事といいますが、見た目に関わる内装仕上げ工事と電気やガスといった建物の設備を使用可能にするための設備工事の2つに分けられます。
内装仕上げ工事では、設計図のとおりに壁や床、天井などを仕上げていきます。
下地の作成や塗装、窓やドアの取り付け、家具の組み立てなど一般的にイメージされる「内装」の仕事全般と考えればよいでしょう。
内装工事の基本となる墨出し
壁や天井を設計図通りに配置するために必要なのが墨出しの作業です。
どの場所に台所などの水回り設備を設置するのか、どの場所に扉や壁を設置するのか、窓の高さはどのくらいなのかを建築現場に書き記します。
位置を正確に示すことだけが目的ではありません。
建築現場には色々な人が出入りしますので、いくら打ち合わせをしても担当者が変わると行き違いが発生するリスクがあります。
そうしたリスクを少しでも減らすことに役立つのが墨出しです。
誰が見てもわかるように建築現場に印や数値が書き込まれていますので、ミスを減らすことができます。
墨出しの基本知識
建築現場ではさまざまな専門用語が使われています。
たとえば、土砂や練ったコンクリートを運ぶ一輪車は「ネコ」とよばれます。
数工程を一回の工程で仕上げることを一発仕上げ、あるいはいちころ仕上げなどといいますが、これも素人にはわからない専門用語です。
墨出しにもいくつか専門用語が用いられています。
柱などに基本となる線を引く作業を親墨出し、柱や梁の中心を示す線のことを芯墨、天井や床、梁といったものの高さ基準となるのが陸墨です。
墨出しの作業が困難な場所や墨出ししても作業の進捗によって隠れてしまうような場所には、逃げ墨を書きます。
逃げ墨には数値がかかれていて、書かれている場所かどのくらい離れた場所のことなのかわかるようになっています。
墨出しの方法
墨出しが設計図を現場に落とし込む作業であることが分かったところで、実際にどのように行うのか、作業方法を見てみましょう。
基本的な作業手順
墨出しには墨つぼという道具を使用しますが、この道具はまっすぐな水平線を引くために使用します。
2人一組で行うことが多く、1人が墨つぼをもち、もう一人が先端部分のカルコを持ちます。
カルコと墨つぼの間に貼られた糸をはじくことで、床など印をつけたい場所に一直線の墨が付きます。
一度つけてしまった墨はなかなか取れないので失敗できない作業です。
基本的には初心者が墨つぼをもち、経験者がカルコ側をもって糸を弾きます。
墨つぼを持っている方は特別なことをしなくてもよいですが、カルコ側は線がまっすぐひかれていることを確認しなければならないため、経験者が担当するのです。
注意が必要な100切り
墨出しの方法の一つに「100切り」というものがあります。
距離を正確にするため、ものさしの100mmの部分をゼロとみなして距離を測るやり方のことです。
100切りしたことを忘れて墨出ししてしまうと、測定したポイントが微妙にずれてしまい、建物の精度が失われてしまいますので要注意です。
捨てコンクリートに打つ地墨出し
捨てコンクリートとは、地盤固めが終わった後に打つコンクリートのことです。
「捨て」とついていることからわかるように、正式な建物の床ではありません。
あくまでも作業をしやすくするためのものです。
この捨てコンクリートや基礎に墨出しすることを地墨出しといいます。
壁や柱などの位置を示し、それにもとづいて間仕切りや壁など内装に必要な部材を設置していきます。
天井下地に打つ天井墨出し
地面に印があるのであれば、当然、天井にも印が必要です。
天井下地に打つ墨出しのことを天井墨出しといいます。
地墨をもとに天井に墨を描きますが、レーザー墨出し器に従って印をつけるのが一般的です。
点検口の場所を示す点検口墨出し
工事終了後に配管や配線を点検するための開口部を点検口といいます。
建物に雨漏りがあったり、排水のトラブルや水道管の破裂があったりしたときに、作業員は点検口を使って内部の様子を調べます。
点検口墨出しは石膏ボードを張った後に行われます。
まとめ
今回は内装工事でも行われる墨出しについてまとめました。
壁や天井、床などを整える内装工事では壁・窓・設備などの位置がずれてしまうと大変なことになります。
そうならないため、正確な墨出しが必要です。
内装工事の墨出しは、縁の下の力持ちの役割を担っているのです。